【日刊建設通信新聞より】「海外投融資を再開/PPP受注企業を支援/JICA」「12月9日まで受付/海外のPPPインフラ調査第2弾/JICA」

管理人も関西から参加した(今回は関西からはもう一人、関西NGO協議会の加藤良太氏の二人のみの参加)2010年11月12日(金)に外務省会議室において行われた「2010年度第二回ODA政策協議会」の場では、外務省側(NGO大使)が「過去の海外投融資の失敗例について近日中に明らかにする」と明言されていましたので、その詳しい内容や総括(教訓化)について具体的に協議することが極めて重要です。

 なし崩し的な「海外投融資再開」がODAの「国際援助ビジネスへの先祖がえり」(10月23日に行われた大阪でのNGO・企業・JICAによる公開意見交換会でのNGO側発言)とならないよう、徹底した過去の検証と教訓化、そして進められようとしている案件に対するモニタリングが問われています。

 大阪での公開意見交換会や東京でのODA政策協議会の場でもNGO側から繰り返し主張され強調されていたように、失敗した過去のODAについての検証(特にその典型例としてのフィリピン・ボホール灌漑事業のケースのような事例から学ぶこと)が極めて重要です。「過去に目を閉ざす者は(過去から学ばない者は)、結局のところ、現在にも目を閉ざすことになります(「盲目になる」という訳も在る)」(旧西ドイツのヴァイツゼッカー大統領の言葉)。ODA関係者もこの言葉を胸に刻み込むべきではないでしょうか?

 管理人

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日刊建設通信新聞2010年11月15日】

海外投融資を再開/PPP受注企業を支援/JICA

 国際協力機構(JICA)は、開発途上国で導入が進むPPPインフラ事業を日本企業が受注しやすくするため支援体制を構築する。廃止された「海外投融資」を2011年度に再開し、PPPの受託企業に直接資金を融資できるようにする。また、「PPPインフラ事業準備調査」を実施し、日本企業が基本事業計画を作成するPPPの事業化を図る。事業化したPPP事業の受注者に海外投融資することで、政府開発援助(ODA)による日本企業の受注を後押しする考えだ。

 海外投融資は、日本企業が海外で活動する際に資金協力する制度。政府は、01年度の特殊法人等整理合理化計画で廃止している。しかし、経済界からの強い要望を受け、09年度の「骨太の方針」で再開する意向を盛り込み、ことし6月に定めた新成長戦略では10年度中に復活する方針を打ち出している。

 このため、JICAは支援対象などの制度設計を進めている。再開されれば、PPP事業を受注した特定目的会社(SPC)への出資や融資が可能になる。現在は、電力や運輸、上下水道廃棄物処理などのインフラ事業、BOP(開発途上地域における低所得者層)ビジネスなどを想定している。

 また、単に企業に融資するだけでなく、PPPの案件形成を押し進める考えだ。このため、プロポーザルで「PPPインフラ事業準備調査」の事業者選定を進めている。これはODA資金の供与候補となるPPPインフラ事業を民間企業が提案する制度で、プロポーザルで採用された企業(複数社)にはJICAが1億5000万円を限度に調査費を支給する。さらに、調査の結果、可能と判断できればJICAがODA化を図り、相手国がPPPの事業化を図ることになる。

 調査では基本事業計画の作成までを担当するため、ODAが決まればこの計画をもとに事業が進むことになり、受託企業にインセンティブが働きやすい。また、事業への参画を予定することがプロポーザルの条件となる。JICAは、採用する事業を海外投融資の候補として想定している。

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日刊建設通信新聞2010年11月14日】

12月9日まで受付/海外のPPPインフラ調査第2弾/JICA

 国際協力機構(JICA)は12日、海外PPPの案件形成に向けた第2弾調査となる「PPPインフラ事業準備調査」の公募型プロポーザルを公告した。発展途上国のインフラ整備にPPP導入の拡大が見込まれる中、国内企業から事業化に向けた提案を求め
る。数件程度を選定し、事業化が可能と判断できれば、円借款によるODA(政府開発援助)として事業化を図る方針だ。

 プロポーザルの提出指示書は12月2日までに取得し、同9日に民間連携室連携推進課協力準備調査(PPPインフラ事業)係に提出する。第3者機関による審査を経て2011年2月上旬に事業を選定し、早ければ同3月中旬に契約する。同4月から調査を開始する。

 参加資格は、開発途上国での活動実績があり、PPPインフラ事業に生かせる技術や経験を持つ日本の登記法人であることなど。単独か共同企業体で参加する。また、参加企業は、PPPインフラ事業への投資を検討することを条件とする。

 プロポーザルでは、途上国の中から1カ国を選定し、投資を予定しているPPPインフラ事業と、事業に関する調査計画概要を提案する。

 具体的には、候補事業の提案と当該事業の必要性、背景確認として▽当該国のPPP関連法制度の状況▽当該事業の他国企業などの状況、動向▽事業ニーズ▽事業リスク――などを提案。

 また、PPPインフラ事業にかかわる具体的な事業実施計画の提案として▽事業目的▽需要予測▽設計条件の設定▽概略設計▽施工計画の作成▽概算事業費▽事業実施スケジュール▽事業実施機関の財源状況の分析▽調達パッケージの提案――などを行う。

 調査金額の上限は1億5000万円(税込み)を設定している。

 JICAはことし3月31日に同調査の初弾を公告。当初は3事業程度の採択を予定していたが、インフラ・パッケージの海外展開が盛り込まれた政府の新成長戦略を受け、件数を大幅に増加した。契約に向けて作業を進めており、12月に結果を公表する予定だ。