10月23日「開発課題達成のためのNGO・企業・JICA(民間連携)の協働に関する分科会」公開意見交換会(in 大阪) 議事要旨

10月23日に大阪で「開発課題達成のためのNGO・企業・JICA(民間連携)の協働に関する分科会」公開意見交換会(in 大阪)が開催されました。

 以下、JICA民間連携室連携推進課より送られてきた当日の議事録要旨です。JICAのHPには、いまだにこの「開発課題達成のためのNGO・企業・JICA(民間連携)の協働に関する分科会」についてきちんと一般市民に対して情報提供するためのページが無いようですので(当日も開設の必要性が指摘されていた)、ここに公開します。


「開発課題達成のためのNGO・企業・JICA(民間連携)の協働に関する分科会
公開意見交換会(in 大阪) 議事要旨(全文)
10月23日公開意見交換会議事要旨.doc 直


 なお、以下に転載するのは、議事録要旨から神田浩史さんをはじめ主にODA改革ネットワーク関西関係者が発言した部分を抜粋したものです。


「今後、NGO・企業・JICA協働実現に取り組むにあたり、新スキーム構築の前提として協働による過去の政策の検証が必要。グッドプラクティス収集の際も、企業サイドから見たグッドプラクティスだけでなく、NGOが蓄積してきた地域住民・地域社会サイドから見た厳しい評価情報も参照すべき」(神田浩史氏)


「今後、協働実現など新しい事業に取り組む場合には、失敗事例の検証が重要。現在制度設計中の海外投融資についても然り。その際、失敗事例があれば失敗事例として認めるべき。他スキームを例にとると、フィリピンのボホール灌漑事業(円借款)は失敗案件と認識しているが、そのように扱われておらず、協働に関する過去事例の検証を行う場合には、そのようなことがないようにすべき」(ODA改革ネットワーク関西関係者)


ODAが日本企業のための「国際援助ビジネス」へ「先祖がえり」にならないようにすべき」(ODA改革ネットワーク関西関係者)


 管理人


////////////////////////////////////////////////////////////////////////

平成22年11月19日
JICA民間連携室連携推進課


「開発課題達成のためのNGO・企業・JICA(民間連携)の協働に関する分科会
公開意見交換会(in 大阪) 議事要旨


開催目的:開発課題達成のためのNGO・企業・JICA(民間連携)の協働について、これまでの分科会の会議報告を行い、さらに様々なステークホルダーが協働の意義及び方向性について理解を深めるとともに、その意見を聴取すること。
日時:平成22年10月23日(土)13:30〜17:00
場所:大阪国際交流センター A・B会議室
出席者:計 29名(内、NGO側(学生含む): 20名、企業側:5名、JICA側: 4名)

   (中略)

(イ) NGO側プレゼンテーション
② 関西NGO協議会 神田氏より、「NGOから見た開発課題」について発表。
・ 「開発課題」に対する企業との認識ギャップをすり合わせる場が必要。例えば、BOPビジネスでは企業とNGOの間でターゲット層に対する認識のズレがある(企業は「中間層」、NGOは「最貧層」と認識)。
・ 大企業より中小企業の方が協働に対するニーズが高い。
・ 地球環境問題の深刻化:南北問題(=地球環境問題)はJICAやNGOだけでなく、多くのアクターが連携して取り組むべきものと捉えるべき。その際、現地NGOの活用も検討すべき。
・ 今後、NGO・企業・JICA協働実現に取り組むにあたり、新スキーム構築の前提として協働による過去の政策の検証が必要。グッドプラクティス収集の際も、企業サイドから見たグッドプラクティスだけでなく、NGOが蓄積してきた地域住民・地域社会サイドから見た厳しい評価情報も参照すべき。

   (中略)

(エ) その他
NGO・企業・JICAの間で協働事業の目標を共有することが不可欠。
・ 今後、「協働」のパートナーの裾野を拡げていく上で、カタカナ専門用語を多用しないことが重要。身近な言葉でわかり易く。
・ 今後、協働実現など新しい事業に取り組む場合には、失敗事例の検証が重要。現在制度設計中の海外投融資についても然り。その際、失敗事例があれば失敗事例として認めるべき。他スキームを例にとると、フィリピンのボホール灌漑事業(円借款)は失敗案件と認識しているが、そのように扱われておらず、協働に関する過去事例の検証を行う場合には、そのようなことがないようにすべき。
・ 3者連携は失敗する可能性が大。日本国内の第3セクター事業で成功したものは少なく、重大な失敗も多い。国際協力における3者連携はその繰り返しになる可能性が大きい。また、協働の開発面の効果も疑問視している。よって、失敗例の検証こそ必要。
・ 「収益性」と「公共性」を巡り企業−NGOそれぞれが追求する目標が相反すると思われる中で、多種多様なNGOのうち、「公共性」についてよりモラルの低いNGOの方が参加しやすいという矛盾がある。また、我が国NGOにおいては、①「組織」よりは「個人」の資質に依拠する、②量の増大に対して質の維持が困難である、③NGO団体が主旨・目的の異なる団体・個人に乗っ取られるといった問題点及びリスクを抱えている。これらを踏まると、3者連携を実施する場合のリスクは、よりモラルハザードの低いNGOを有利にしたり、NGOの劣化・腐敗化を招いたりすることになり、連携系全体の質が低下する方向に変化することである。従って、前述の検証や事前のリスク管理システム構築に加えて、NGOの役割としては、協働に一員として参画するより監視(モニター)の役割が重要。
・ 協働において、NGOやJICAが重視する公共性と企業が重視する採算性が本当に両立するのかが課題。
・ 「企業」といった場合でも、実際にはCSRに熱心な企業とそうでない企業、NGOやJICAとの協働に熱心な企業とそうでない企業など様々な種類の企業が存在する。また、企業の社員とて、会社を出れば一人の市民であるので、CSRNGO・JICAとの協働によって、途上国の開発問題に貢献する姿勢をもった企業及び社員が存在することもわかってほしい。
・ 少人数のベンチャー企業でBOPビジネスを展開するのは難しいので、連携のパートナーを探したいが、その際のデータベースがあると助かる。
・ JICAやNGOの中でも、途上国の「現場」を知っている人の関与を確保すべき。特に規模の大きなJICA事業は環境社会配慮面の潜在的インパクトが大きいので、現場を知っている人の関与は重要。
ODAが日本企業のための「国際援助ビジネス」へ「先祖がえり」にならないようにすべき。


(5) 今後のスケジュール
・ 分科会会合:会場は東京(JICA国内機関をテレビ会議でつないで開催予定)
第3回会合:11月11日(木)
第4回会合:2月10日(木)
・ 公開意見交換会
(大阪):4月9日(土)
(名古屋):4月16日(土)
NGO-JICA協議会:4月以降